ホーム > お客様の声 > vol.31 ロマン80%、実用性20%。夫婦の夢を実現した家づくり「暖炉のある家」

vol.31

「暖炉のある家」

ロマン80%、実用性20%
夫婦の夢を実現した家づくり

相模原市緑区(旧藤野町)/N様邸
2019年3月竣工 設計:池辺潤一

「minotakeの家プロジェクト」第一弾!

藤野地域のなかでは、比較的多くの住宅が建つエリアで始まった「minotake(=身の丈)の家プロジェクト」。分譲の条件は、家が大きすぎないことと自然素材を使うことのみ。社長曰く「今までのプロジェクトのなかではいちばんシンプルで条件がゆるい」プロジェクトだそう。その第一号として完成したのが、暖炉のあるN様邸でした。

アーティストの筒井明さんにお願いした独創的な木の扉を開くと土間があり、そこからリビングへとつながります。リビングの中央にあるのは、薪ストーブではなく暖炉。その暖炉を囲むように、壁沿いにベンチが設置されています。階段下は旦那様の書斎スペース、寝室と子ども部屋は2階にあります。階段を上がったすぐ脇には、部屋とも違う小さなフリースペースも。高台からのすばらしい景色が見渡せるこのスペースは、ソファとテレビを置き、第二リビングのような場所になっています。

N様が藤野に移住したのは、今から5年前。たまたま気に入った賃貸物件が藤野にあったというN様ですが、実際に住んでみるとまち自体の居心地もよく、家を購入することを検討し始めました。最初は中古物件の購入を考えていたそうですが、リフォーム費用もかなりかかることもわかり「それなら新築で、全部が思い通りの家を建てたほうがいい」と考えるようになりました。

奥様:「まちを散歩していると、創和さんの家ってすぐわかるんですよ。“いいなー”と思う家は大抵、創和さんの家。だから私たちも創和さんにお願いしようと思いました」

ちょうど相談に行った頃に始まったのが「minotakeの家プロジェクト」。その土地は、日当たりも見晴らしもよく、駅も徒歩圏内。奥様が以前に散歩していて、この辺りに建てられたらいいな、と思っていたエリアだったこともあり、すぐに購入を決めたそう。

家づくりはロマン80%、実用性20%

おふたりには、それぞれ大きなこだわりがありました。旦那様の最大にして絶対に譲れなかったこだわりは、昔からの夢だったという「暖炉」。薪ストーブを導入する家が多いなか、あえて暖炉を選んだのは「とにかくかっこいい」という、とてもシンプルな理由でした。当初、奥様には大反対され、何度も話し合ったそうです。それでも、暖炉だけは譲れませんでした。

N様:「だって一生に一度の買い物なのに、昔からの夢を妥協したくないじゃないですか。だから“ここだけは譲れない、あとは譲るから”みたいな感じで交渉しました。僕の家づくりはロマンが80%、実用性は20%です(笑)」

しぶしぶ暖炉の導入を決めましたが、薪ストーブより寒いのではないか、直火で大丈夫なのか、火は簡単につけられるのか。奥様にはいろいろな不安があったそうです。しかし実際に使ってみると、今の暖炉は点火も簡単でじゅうぶん暖かく、今は暖炉にしてよかった、と思っているそう。

ヨルダンで見た、火を囲む居住空間を再現

そして奥様にも、大きなこだわりがありました。それがリビングの三方をぐるりと囲むベンチです。

奥様:「去年、ヨルダンに旅行に行ったんです。そのときに行ったベドウィンという先住民の居住区がこういう感じになっていて、すばらしかったんです。三方向に椅子があって、その真ん中で儀式をする。椅子が観客席みたいになっていて、みんながその儀式を見ているんです。それが家に取り込まれているのがすごくいいなと思って」

この三方向のベンチをつくったことで、リビングにはソファを置く必要がなくなり、広々とした空間が生まれました。お客さんがきても大勢座れるし、ちょうどベンチの目の前には、暖炉が設置されており、ヨルダンで見た風景そのまま、火を囲む場所となっています。
そしてこの要望を聞いて、建築家の池辺さんは家のイメージが湧いたそうです。

池辺:「じつは僕も、トルコに行った時にこれに近い空間を見て、すごくいいと思ったことがあったんです。だから話を聞いたときに“わかる! それはいい!”って思いました。ここは四角い土地なんですけど、四角い土地の場合はどうしても形が決まっちゃうところがあって、何かのきっかけをもらわないと、独自のプランが生まれなかったりするんです。でもおふたりには、暖炉を入れたいということと、中東のスタイルや心地よさを取り入れたいというふたつの大きなこだわりがありました。それは設計を考えるうえで、すごく刺激になりましたね」

そんなおふたりのセンスは家の随所に現れています。ヨルダンで購入してきたというタイルが家のあちこちで使われ、アクセントに。リビングに敷かれた羊毛の絨毯も、家の雰囲気にぴったり合っています。

ライブ感がある建築現場

近くに住んでいたこともあって、建築中は週に1度は現場に足を運び、打ち合わせをしたというN様。

N様:「建築中の思い出深いエピソードはやっぱりあれです。奥さんが、最後の最後でキッチンを変えたいって言い出したんです。それが、完成1ヶ月前ぐらいだったんですよ。もうね“今さら俺は言えないよ!? 自分で言って!”って感じでしたね(笑)」

奥様:「当初は一列型のキッチンにしてたんですけど、子どもの“見て見て”がすごく多くなってきて。じゃあ少しでも見る時間を増やすためには、キッチンがリビングのほうに向いてないとダメだなと思って。それでシンクをリビングの対面に持ってくるように変えてもらいました」

池辺さんと現場監督の小俣さんに相談すると、あれこれ知恵を絞った結果、なんとかなりそう、ということになりました。

N様:「池辺さんも小俣さんも、できないとは絶対言わないんです」

池辺:「僕は、最初の設計でガチガチに決めないで進めていくので、もともと現場判断が多いんです。よく言えば“ライブ感がある”(笑)。だからその分、その場その場で臨機応変に対応できるんですね。だけどそういうやり方は、現場監督や職人さん、施主さんとの信頼関係がなければできないやり方だと思います」

その場その場で決まっていくというのは、職人さんからすれば、けっして楽な方法ではありません。それでも池辺さんのやり方に理解を示し、楽しんで取り組んでくれる創和建設のチームと施主さんのおかげでこうした家づくりが実現できていると、池辺さんは話します。N様のキッチンの変更も、信頼関係のなかで柔軟に対応することができました。

N様がこの家に住み始めて2ヶ月。湿気が少なく、日当たりもいい木の家は「とてもよく眠れる」そう。「もう、ずっと寝ていたいぐらいです(笑)」と奥様。現在は庭をどうしようかと思案中。旦那様のロマンと奥様の感性とがつまったお家は、これから先、さらにおふたりの色に染まっていきそうです。

創和の社長曰く「私の思い付きから始まったminotakeのプロジェクトの1軒目にあたるN様邸。”暖炉のある家”と名付けられましたが、今までの10か所近い“家プロジェクト”と同じように、ここも私の想像を遥かに飛び越えてしまってるんです。自然にそして自由に、大きすぎず便利すぎず簡素であることとざっくりしたゆる~い目標を掲げたこの企画。ただ、創和建設の監督や職人さんたちにに言わせると…ぜんぜん、身の丈というイメージじゃない。周囲の住宅からも頭抜けている良質な住宅になってると言われてしまい返事に困る。1軒でこれだから、最終的に6軒が完成することを考えると今から楽しみしかない。この企画に賛同して集まって来てくれた施主の皆様には感謝しかありません。」

創和建設は町をつくるように家をつくっていく、景色をつくるように家をつくっていく。そこには普通の建築よりも時間はかかるかもしれないが、施主・設計者・施工者、この家に関わったすべての人たちの満足感は計り知れないものがあるのでしょう。“家・プロジェクト”という括りですが、施主を中心に関係した人たちの“人・プロジェクト”なんでしょう。これから広がりを見せていく“minotakeプロジェクト”、次回はどこの家のインタビュー記事になるのか…?