ホーム > お客様の声 > vol.25 専門領域はプロに委ねる。心地いいという感覚から生まれた「豊田の家」
vol.25
「豊田の家」
専門領域はプロに委ねる。
心地いいという感覚から生まれた家
東京都日野市/K様邸
2016年6月竣工 設計:いちかわつくみ建築設計室
対面式キッチンとダイニング。この手前に畳スペースがありますが、奥様は無垢材の床に座ってくつろぐのも好きだそう
家にいる時間のほとんどを居心地のいいリビングで過ごす
JR中央線豊田駅から、浅川方面に歩いた閑静な住宅街に建つK様邸。新築では珍しい引き戸の玄関を開けると、ふわりと杉の香りが漂います。1階にはリビングダイニングとキッチン、衣裳部屋や水回り全般、2階には寝室や室内干しのできるフリールームなどがあります。LDKは対面式のキッチンとダイニングテーブルで、互いの顔が見えるように。ごろりと横になれる小上がりの畳スペースは天井が吹き抜けになっていて、光がしっかりリビングまで届きます。とても居心地が良く、寝る時以外のほとんどはご夫婦ともリビングで過ごしているのだそう。
リビングから出られる庭では、本格的な家庭菜園もやっています。休日は友人や会社の先輩を呼んで、リビングと庭とでバーベキューをしたり、パーティを開いたり。都内ですが、窓さえ開ければ川からの風が吹き抜けるため、エアコンは結局つけないまま。冬もガスストーブ1台でなんとかなっているというから驚きます。
理屈ではなく感覚で選んだ木の家
もともと家を建てるつもりはなかった、というK様。しかし、なんとなく出かけた住宅展示場を見ているうちに「家をつくるって、面白そうだな」と思うようになりました。一方で、そうした展示場のモデルハウスを見るたびに「ここが微妙だよな…」など、気になる箇所も見えてくるように。そこでどうせつくるなら、自由に考えられる注文住宅をつくろうと決めました。自然住宅にしたのはそれほど深い意味はなく、木の家のほうが気持ちいいだろうと思ったからだそう。
「K様は、あまり理屈っぽくないんです。気持ちいいとか、感覚的なものを大事にしているんですよね」とお話ししてくださったのは、K様邸の設計士、いちかわつくみさん。
家を建てることにしたK様が木の家(自然住宅)の設計士さんをネットで探していて、たまたま見つけたのがいちかわさんでした。何人か問い合わせたそうですが、最終的にいちかわさんにお願いした決め手は、提案されたプランのゆったりした空間の使い方とデザインのシンプルさ。そして、なによりその真面目さに魅かれたそうです。そして、建築コストの監理もとてもしっかりされていました。
K様「間取りも広めでゆったりしていたし、もともと入り組んだものよりもシンプルなものが好きなんです。でもシンプルなだけじゃなく、リビングの壁が斜めになっていたりもして、そこも面白いなと思いました」
一見すると、なんで斜めにしたんだろうと思える壁。じつは庭を挟んだお向かいのお宅と視線が合わないように配慮した結果なのだそう。また、斜めにしたことで、道路からも家の中が見えづらく、プライバシーがしっかり確保されています。細部まで、よく考えられているのです。設計者のそんな意図も「創和建設だったら、多少無理してもその施工技術で上手くなんとかまとめてくれるだろう」という自信があったからだそうです。
京都出身のK様ご夫妻。玄関の引き戸や畳など、自然と家にも和風の要素が盛り込まれました
専門領域はプロに委ねる
いちかわさんは設計を決めるまでに綿密な打ち合わせを重ねる設計士さんです。要望を聞き、予算と照らし合わせ、どれを残し、どれを残すのか、施主さんと何度も何度も話し合って決めていきます。
いちかわさん「要望をリストアップしていくと、だんだん太っていっちゃうというか、無駄なものが増えていくんです。だから、最後にいろいろ話し合って、これは残しましょう、これはやめましょうって細かくやっていくのは、大切なことなんじゃないかと思っています」
K様「確か結構ばっさり切られていったというか(笑)。その結果、本当に欲しいものだけ残して、すごくシンプルになりましたね」
しかしいくら予算の関係もあるとはいえ、もともとの要望がそんなに削られてしまったら、施主としては不安にならないのでしょうか…。
K様「僕は理系の人間なので、専門領域のことはプロのほうが優れているっていうことが身にしみてわかっています。だからお願いする人を選んだ時点で、余計なことは言わずに、その人の専門性にかけて信頼してやってもらったほうが、絶対にいいものができると思っているんです」
奥様「建築は全然知らない分野なので、ふたりで勉強したりもしたんですけど。結局、私たちがやることのメインは要望を伝えることでしたね(笑)」
専門領域はプロに委ねる。一生でいちばん大きな買い物とも言われる家づくりでそう言い切るのもなかなか勇気がいるような気がします。
K様「でも1階の衣裳部屋なんかは、要らないんじゃないかって言われたんですけど“そこは僕のこだわりなので絶対ダメです”って言って残してもらいましたよ(笑)」
プロにお任せしつつも、どうしても譲れない部分ははっきり伝える。じつはK様がいちばん譲れなかったのが、家の中の動線です。以前の家は、複雑なつくりをしていて生活しづらく、朝の支度をするにもあっちにいったりこっちにいったりとストレスが多かったのだそう。綿密な打ち合わせのおかげで、洗面所から衣裳部屋、リビングと、特に朝の動線は完璧。まったくストレスがなくなったと言います。
K様「実際住んでみて、後悔しているところがほとんどないんですよね。ここにコンセントひとつつけておけばよかったなぁとかそんなことぐらいです。朝の動線とか、帰ってからのくつろぎ具合とか、本当に住みやすくて。もともとあんまり出かけないんですけど、ここに引っ越してきてなおさら出かけなくなりましたね」
出かけたくなくなるほど居心地のいい家。それってなんだか理想の家、ですよね。
プロに任せるといっても、単なる人任せにはしない
ちなみに、通常は創和建設で家を建てることが決まり、設計士さんをご紹介することが多いのですが、今回はいちかわさんからK様をご紹介いただき、創和建設が施工を担当することになったという珍しいパターン。
K様「創和さんが建てた家を見学させてもらったら、中の雰囲気もよかったですし、打ち合わせに行っても柔らかい感じで気持ちよくお話させてくださったので、いいなと。なによりつくられた家が細かいところまでとても丁寧に施工されてあったので…」
「なんでもはっきり言う現場監督も面白かったし、よく喋る職人さんたちともすっかり仲良くなった」というK様。プロに任せるという意識はもちつつも、ただ単に人任せにする、というのとは違い、現場には何度も足を運んで打ち合わせし、職人さんともおおいにコミュニケーションを取りました。
奥様「現場に行って誰もいないと、ああ、今日は誰もいないのかぁってちょっと寂しいぐらいでした(笑)」
また、創和建設の特徴のひとつでもあるセルフビルドを創和の代表から普通に提案されたときには、面白そうだからと、休日返上で壁のペンキ塗りなどを行なったそう。
気持ち良さそうだからと木の家を選び、依頼した時点で設計士さんや工務店、そして職人さんを信頼し、委ねる。本当に大切なこだわりは守りつつ、余分なものは削ぎ落としてシンプルにする。そして、セルフビルドができると聞けばそれを楽しみ、職人さんとのやりとりも楽しむ。
たとえ市街地の真っただ中でも、施主自らの心地いい、楽しいという「感覚」さえあれば、すてきな家は自然と生まれていく。こんなふうにプロセスが誰が引っ張るでもなく自然で後悔のない「自然住宅」の生まれ方もあるのです。